「クリパル・エクスプレス」Vol. 45(2010.2.3発行)より

「ある行為が原因で、次の行為に結果として繋がる」という因果の法則をカルマと呼びます。そして、ちょうど、道路の輪立ちに、たくさんの車が通過すればするほど固くなるように、ある行為が次の認識を生み、さらに新しい行為に繋がるという一連のパターンは、何度も反復される度に強くなり、しだいに似たような境遇に何度もおかれるという体験をします。

ここをもう少し掘り下げると、ある状況に心が反応して次の行為を生むという、心の反応パターンが曲者です。心が決まりきった反応パターンを何度もしていくうちに、そのパターンから外れた認識や行為が難しくなってきます。こうして、私たちの認識する世界観や人生観が形成され、さらに、その固定観念に束縛されていくわけです。
心がこのように決まりきった反応パターンで固定化するのは、心理的エネルギーにブロックが生じた状態なので、英語でエネルギー・ブロック、サンスクリット語ではサンスカーラと呼ばれています。 サンスカーラは、さまざまな行為の元になる種として喩えられています。

その時々の環境要因に適した種が発芽して実を結ぶように、人生のその時々の状況に適したサンスカーラが、活性剤として働き行為を生むと言われています。

この潜在的なサンスカーラの反応に気づき、盲目的な反応から自分を自由にする、つまり、その種を取り除く作業がヨガの実践です。そのための手段として、ヨガを始めとする精神修養の多くは、まず、実践者を肉体的にも精神的にもギリギリの切羽詰まった瀬戸際の「エッジ」へ導くことで、盲目的に反発したり、抵抗したり、逃げたりする心の反応に気づかせるのだと思います。日常生活では行わないようなポーズで動いたり、反対に、瞑想で長時間、動くことを止めたり、呼吸法で呼吸を長くしたり止めたり、時には、黙行で話すことを止め、断食までしたりするのです。今までのヨガ体験に関わらず、誰でも、ある程度は切羽詰まったエッジへ立たされていくでしょう。(続く)